カウンセリングを受けることを検討していると、「実際にカウンセリングを受けている人というのはどのような人なのだろうか?」「カウンセリングを必要とする人はどのような人なのだろうか?」といったことが気になるかと思います。
多くのカウンセリング機関のホームページには「どのような相談でもOK」と書かれています。しかしそれでも、いざ申し込もうとすると「自分のような困りごとでもカウンセリングを受けていいのだろうか?」と躊躇してしまうのではないでしょうか。
この記事では、カウンセリングを受けることを検討している方のために、カウンセリングを必要としている人はどのような人なのか、実際にどんな人がカウンセリングを受けているのか、カウンセリングを受けないほうがいいケースはあるのか、などについて説明したいと思います。
カウンセリングを必要とする人って?
まず、カウンセリングを必要とする人は一般的にどのような人なのでしょうか。
こころに関する困りごとがある人
カウンセリングを必要とする人として、まず何よりも自分のこころに関する困りごとがある人があげられます。具体的には以下のようなものがあるでしょう。
- 不安や憂鬱、焦り、悲しみ、イライラ、嫉妬などの辛い気持ちがある
- 自分の性格、考え方や感じ方を変えたい
- 人間関係(家族、友人、職場、恋人など)で困っておりどうにかしたい
- 具体的な困りごとがあるわけでないが、何となく空しい、空虚感がある
- 自分の生き方や人生について考えたい気持ちがある
こういった方は、精神科などには通院していないものの、社会生活や家庭生活、学校生活を営んでいる中で上記のような困りごとを抱えて苦しい思いをしている方が多いです。
こころと関わりのある疾患や障害、症状がある人
カウンセリングを必要とする人には、こころと関わりのある疾患や障害、症状がある人も多くいます。例えば以下のようなものがあげられます。
- 鬱病、不安障害、強迫神経症、双極性障害、パーソナリティー障害、摂食障害など
- ストレスなど精神的なことの影響を受ける身体疾患(心身症)や身体症状:過敏性腸症候群、身体的原因がないのに続く痛み・めまい・疲れ・動悸など
- 発達障害
こういった方の場合、医療機関に通院して薬物治療をしている方が多いです。しかし、薬だけではなかなか改善されない場合や症状との付き合い方を考えたい場合、また、疾患や症状と関連して先に述べた「こころに関する困りごと」が生じている場合などに、薬物治療と併行してカウンセリングを受けることを選択されています*。
発達障害はこころと関わりがあるのかと思う方もいるかもしれませんが、発達の偏りによって困りごとや辛い気持ちを抱えている方は多くいらっしゃいます。発達障害の特性そのものは変えることが出来なくても、自分自身の特性について理解を深めてどう生きていくかを考えるためや、発達障害ゆえの生き辛さや傷つきについて考えるためにカウンセリングを受ける方が多いです。
*医療機関に通院中の方は、カウンセリングに申し込む前に主治医にカウンセリングを受けることについて相談する必要があります。
自分自身についての理解を深めたい人
また、カウンセリングを必要とする人の中には、差し当たって大きな困りごとや疾患、症状などはないけれど、自分自身についてより深く知りたいという方もいらっしゃいます。以下のような例があげられます。
- よりよい仕事や人間関係のために自己理解を深めたいという方
- 自分自身やこころについての探求心があり自分自身について考えたい方
- セルフメンテナンスやセルフケアの一環として予防的に受ける方
- 自己表現や対人援助の仕事に活かすために自分を見つめたい方
このようなカウンセリングの利用の仕方はまだ広く知られていない印象ですが、今後、増えてくるのではないかと思います。
実際にカウンセリングを受けている人ってどんな人?
では、実際にどんな人がカウンセリングを受けているのでしょうか。
年齢で言えば、子どもから高齢者までさまざまな年代の方が利用されています。幼児や子どもの場合は言葉ではなく遊びなどを通したやりとりをすることもあります。
戸籍上の性別に関しては、一般的に男性よりも女性の方が若干多いと言われています。
社会的立場もさまざまで、会社員や公務員、経営者や自営業の方もいれば、パートタイムで働いている方、専業主婦をしている方、休職中であったり療養している方、お仕事をしていない方、すでに退職された方もいます。もちろん学生の方もいますし、浪人をしている方、就職活動中の方もいます。また、言語の制約がある場合もありますが、国籍もさまざまです。
このように、カウンセリングを受けている方は幅広い層に渡っていると言うことが出来るかと思います。
カウンセリングを受けない方がいいケースとは?
ここまで、カウンセリングが必要な人や実際に受けている人について書いてきましたが、カウンセリングを受けない方がいいケースもあります。
カウンセリングよりも医療機関の受診をした方がいいケース
まず1つ目は、カウンセリングを受けるよりも医療機関を受診した方がいいケースです。それは以下のような場合です。
- 疾患や障害の診断をしてほしい場合
- 精神的な症状に対する薬がほしい場合
- 休職についての判断をし書類作成をしてほしい場合
上記の事柄はカウンセラーではなく医師でないと出来ないため、医療機関の受診が必要です。
通院先の主治医がカウンセリングを許可しない場合
医療機関に通院中の場合、カウンセリングを受けようと思ったら、まず主治医にそのことを相談する必要があります。カウンセリング機関も、カウンセリングの申込みの時点で、通院中の主治医から許可が出ているかどうかを確認するところがほとんどだと思われます。
というのも、疾患や病状によっては、症状に大きな影響を与えるためにカウンセリングは避けた方がいいケースもあるからです。そのような理由で主治医から許可が出なかった場合、カウンセリングは無理に受けない方がいいと思われます。
主治医の判断に納得ができない場合もあるかと思います。その時は、カウンセリングをしない方がいいと判断した理由を聞き、自分の意見も伝え、十分に話し合うことが必要です。それでも納得できない場合はセカンドオピニオンを他の医療機関に受けに行ってもよいかもしれません。
「こんな悩みでカウンセリングを受けてもいいの?」と心配な方へ
さまざまな方がいろいろな困りごとで(困りごとがない場合でも)カウンセリングを受けていることが分かったかと思います。それでも「こんな悩みでカウンセリングを受けてもいいのだろうか?」と心配に思う方もいるでしょう。
それはもしかしたら、誰かに相談したけれど、自分の悩みを軽く扱われたり、理解してもらえなかった体験があるのかもしれません。もしくは、周囲の人たちやネットの情報、世間の反応などを見て「こんなことで悩んでいるのは自分だけなのではないか」「自分がおかしいだけ、弱いだけなのではないか」と思っているからかもしれません。
しかし、悩みや困りごとに大小はありません。優劣もなければ、良い悪いもありません。人の悩みや困りごとはどんなものでも尊重され、大事に扱われるべきものです。少なくともカウンセラーはそのことを十分に理解している人たちです。
苦しさや辛さを抱えた状態では、自分の悩みや困りごとを自分自身で尊重したり大事に扱うことは難しいものです。そのお手伝いをするのがカウンセリングでもあります。どうか、もしお困りであれば勇気を出してカウンセリングへの扉をたたいてください。
まとめ
以上、カウンセリングを必要としている人はどんな人なのか、実際にどんな人がカウンセリングを受けているのか、また、カウンセリングを受けないほうがいいケースはどのようなものなのかについて説明しました。カウンセリングを受けようか迷っている方のお役に立てれば幸いです。