- カウンセラーはアドバイスをしないって本当?
- カウンセリングではアドバイスを求めちゃいけないの?
- どうしてカウンセラーはアドバイスをしないの?
カウンセリングを受けるに際して、上記のようなことが気になる方は多いのではないでしょうか。
実際、カウンセリングに訪れる方からこのようなことをご質問いただくことは少なくありません。
確かにここが分からないと、カウンセリングを利用するにしても不安がつきまとうでしょう。実際にカウンセリングを利用してから「思っていたものと違っていた」と後悔してしまうかもしれません。
この記事では、都内でカウンセリングオフィスを営む臨床心理士・公認心理師の資格をもつカウンセラーが、カウンセラーはアドバイスをしないのか、その理由は何か、カウンセリングでアドバイスを求めもいいのか、などについて分かりやすく解説します。
カウンセラーはアドバイスをしないのか
カウンセラーがアドバイスをすることは一般的には少ないと言えます。
全くしないわけではありませんが、多くのカウンセラーが「カウンセリングはアドバイスを提供するためだけの場ではない」と考えているでしょう。
ですので、カウンセリングを「現状を打破するような画期的なアドバイスをもらえるところ」と考えて訪れると、期待外れと感じることが多いかもしれません。
カウンセラーがアドバイスをしない理由
では、なぜカウンセラーはアドバイスをすることが少ないのでしょうか。その理由を下にあげてみます。
アドバイスが問題の根本的な解決につながらない
よくある理由の1つに、アドバイスが問題の根本的な解決には繋がらないということがあげられます。
アドバイスが一時しのぎてきな解決にしかならなかったり、そういった一時的なアドバイスがカウンセラーへの依存を招いてしまうこともあります。
例えば、友人とうまく話が出来ない悩みをもつ人が、カウンセラーから「このような話題で話してみたら?」とアドバイスされてうまくいったとします。
しかし、毎回、カウンセラーにどんな話題がいいかを聞くことは難しいでしょう。
たとえ毎回カウンセラーに聞くことが出来たとしても、今度はカウンセラーに依存するようになってしまうかもしれません。
この場合、応急手当的なアドバイスだけではなく、その人自身が友人との付き合い方自体について考え、対処できる力をつけていく必要があります。
このように、アドバイスが根本的な解決にならないどころか、その方にとって必要な力をつけていくことを阻害してしまうこともあるため、アドバイスをしないということがあります。
アドバイスよりも別の作業が必要
また、アドバイスよりも別の作業が必要と考えられるためアドバイスをしないという理由もあります。
「すでに多くのアドバイスを実行してきたけれど問題が解決しなかった」場合
これまでアドバイスをもとにさまざまな行動を試してみたけれど解決しなかった…という経緯をへてカウンセリングに来られる方もいるでしょう。
その場合、新しいアドバイスを闇雲に実行してみる前に、一度立ち止まって何故その問題が生じているのかから解きほぐす必要があります。
「アドバイスを実行した方がいいと分かっているけれど出来ない」場合
中には、やった方がいい事柄は明らかで、本人も頭ではそれを理解しているにもかかわらずそれが出来ない、というケースもあります。
この場合もまた、さらなるアドバイスを求めるよりも、何故「やった方がいい」と分かっていても出来ないのか?を考える必要があります。
このように、新しい解決策を試すよりもまず問題を整理したり別の側面から検討する必要がある場合、アドバイスをすることは第一の選択にはなりません。
カウンセリングの目的は問題の解決を肩代わりすることではない
最後に最も大きな理由としては、そもそもカウンセリングの目的は問題の解決を肩代わりすることではないということがあげられます。
ではカウンセリングの目的とは何でしょう。
それは「クライエント自身がもっている力を引き出し、クライエントが自分で問題に立ち向かい解決していけるようにすること」というものです。
そのためカウンセラーは一時的な解決だけではなく問題の全体像やその方にとって本当に必要なものを見据えた判断をしているのです。
カウンセラーがアドバイスをしない理由をまとめると以下の通りとなります。
- アドバイスではなく別の作業が必要なため
- アドバイスが根本的な問題の解決につながらないため
- カウンセリングの目的は問題解決の肩代わりではないため
カウンセラーがアドバイスをするとき
カウンセラーがアドバイスを全くしないというわけではありません。
カウンセリングの経過のなかでカウンセラーがアドバイスをすることもあります。
カウンセラーがクライエントの置かれた状況や心理状態をよく理解した上で、具体的なアドバイスが必要だろうと判断した際には、心理学的な知見や経験にもとづいたアドバイスします。
ここで大事なのは、そのアドバイスはカウンセラーの個人的な価値観に基づいたものではないということです。
カウンセラーがアドバイスをするときは、心理学的な知見や経験とクライエントの置かれた状況や心理状態などにもとづいて、具体的な対処法や別の視点での考え方などを提案します。
カウンセリングでアドバイスを求めてはいけないの?
では、カウンセラーにアドバイスを求めてはいけないのでしょうか?
そんなことはありません。「具体的なアドバイスをして欲しい」という気持ちがあるのなら、それをカウンセラーに伝えて下さい。
カウンセリングでは基本的に「伝えてはいけない事柄」というものはありません。一般的には言いにくいことでも伝えてよいとされているのがカウンセリングの場です。
ただ、それを聞いたカウンセラーがアドバイスをするかどうかはまた別の問題です。
カウンセラーがアドバイスをすることもあれば、アドバイスをしなかったり、別の事柄を聞いてくることもあると思います。もし、その理由が知りたければカウンセラーに聞いてみてもよいでしょう。
おわりに
カウンセラーとアドバイスにまつわる疑問について解説しました。要点をまとめると以下のようになります。
- カウンセラーがカウンセリングアドバイスをすることは少ない
- カウンセラーがアドバイスをしない理由
- アドバイスよりも別の作業が必要
- アドバイスが根本的な問題の解決にならない
- カウンセリングの目的は問題解決の肩代わりではない
- カウンセラーが心理学的な知見や経験にもとづいてアドバイスをすることもある
- カウンセリングでアドバイスが欲しいときにはカウンセラーに伝えてOK
カウンセラーがアドバイスをあまりしないことやその理由などを理解することは、カウンセリングを上手に活用することに繋がります。
皆さまがカウンセリングを受けるときや受けることを検討するときの参考になれば幸いです。