カウンセリングを受けようと思ったとき、まず気になるのはカウンセリング料金ではないかと思います。
カウンセリング料金の平均がどの程度なのかが気になるのは当然ですし、カウンセリング料金について調べてみて、その高さに驚いた人も少なくないと思われます。
この記事では、カウンセリング料金の平均はどの程度なのか、カウンセリング料金が高いのは何故なのかなどについて説明したいと思います。
カウンセリング料金の平均
カウンセリング料金はカウンセリングを受ける場所によっても変わります。
公的機関による相談窓口や学校や企業など所属機関にある相談窓口でのカウンセリングは基本的に無料ですが、開業による私設カウンセリングオフィスでのカウンセリングはそれなりの料金がかかるのが一般的です。
私設カウンセリングオフィスでのカウンセリング料金の平均については、一般社団法人日本臨床心理士会による「心理相談機関利用ガイド」には次のように書かれています。
引用
都市部で1回 7000~12000 円、地方都市で 5000~10000 円程度というのが平均的な数字です。
http://www.jsccp.jp/near/pdf/gui03.pdf(心理相談機関利用ガイド)
カウンセリングがある程度継続して通うものであると考えた場合、これは決して安くない料金でしょう。毎週カウンセリングを受けるとすると月に2万~5万円近くの料金がかかります。
では、なぜ開業による私設カウンセリングオフィスの料金は高いのでしょうか。以下にその理由をいくつか挙げてみたいと思います。
カウンセリングはオーダーメイドサービスである
カウンセリングは、クライエント1人1人に合わせて行う、いわゆるオーダーメイドのサービスです。
カウンセリングの技法が定式化されていることはあっても、その技法によって取り扱う内容(何に困っているのかなど)はクライエントによって異なります。また、定式化されているとしても、どの技法をどのように活用するかはクライエントの状況に合わせて適宜、判断しながら進められます。
洋服でも既製品よりもオーダーメイドの方が料金が高いように、個々のクライエントにあわせたオーダーメイドのサービスであることもまた、料金が高くなる理由の1つであると言えます。
カウンセリングに必要な技術と知識の習得に時間とお金がかかる
画家のピカソについてのエピソードで次のようなものがあります。
ピカソが30秒で描いた絵に100万円の価格をつけたところ「30秒で描いたのにそんなに高いのか?」と聞かれました。それに対して彼は「30年と30秒だよ」と答えました。
つまり、ピカソは、30秒で描けるようになる技術と経験を積むのに30年という時間がかかっているのだと言っているのです。このエピソードはコピーライターやコンサルタントなど「一見、誰でも出来そうに見えること」をしている技術職の報酬について議論されるときによく持ち出されています。
カウンセラーも一見、話を聞いて相槌を打ったり質問しているだけに思えるかもしれませんが、その背後には、その技術を獲得し維持・向上するためには相応の時間と費用がかかっています。例えば、信頼のある民間資格である臨床心理士は、大学+大学院での教育に加えて5年ごとの資格更新(とそのための研修参加など)が求められます。
このような専門技術への対価として相応の料金がかかっていると言えます。カウンセラー資格に必要な教育や研鑽については以下の記事も参考になると思われます。
1日に出来るカウンセリングの数に上限がある
カウンセリングは、1人のカウンセラーが1日に会えるクライエントの人数はどうしても限られます。
カウンセリング1回の時間は大体45~60分です。美容院や整体のように、お客さんによって必要な時間がまちまちであったり、何人かのお客さんを同時並行にみたりすることはありません。そのため、1日を8時間労働と考えた場合、食事や事務作業の時間を1~2時間ほど見積もると、カウンセリングが出来るのは1日に5~6人程度と言えるでしょう(実際問題としては、開業カウンセリングをしている人たちはそれ以上の数の方とお会いしていることが多い印象ではありますが…)。
こういった理由から、1日に限られた件数しかカウンセリングが出来ない中で、設備の維持費やカウンセラー自身の報酬などをまかなうには、1回のカウンセリング料金はある程度高いものにならざるを得ないと言うことができます。
カウンセリングに必要な空間を維持するための費用がかかる
開業による私設カウンセリング機関では、固有の面接室でカウンセリングが行われることが一般的です。それは、カウンセリングには、クライエントが安心して話をすることが出来る守られた空間が必要だからです。
多くの場合、面接室はマンションの1室や一軒家であったりしますが、当然ながらその維持費(賃貸料)がかかります。店舗をかまえる業種であれば避けて通れない話であるため、カウンセリングというサービスに限らない話ではありますが、カウンセリング料金の平均が都心ほど高くなるのは、主にこの面接室の維持費による影響も大きいでしょう。
また、面接室はある程度の交通の便がある場所に設けられることが多いという事情もあります。都心であれば、駅から徒歩15分以内であることがほとんどであり、そういった利便性の高い場所であるがために維持費がそれなりにかかるということも、カウンセリング料金が高いことに関係していると思われます。
カウンセリングと同程度の料金がかかるサービス
カウンセリングと同程度の料金がかかるサービスとしては、英会話のマンツーマンレッスンやパーソナルトレーナーがあげられます。レッスンの頻度や時間はまちまちではありますが、大まかな料金の平均は以下のようになります。
- 英会話のマンツーマンレッスン:1か月16,100~256,575円→1か月の平均54,924円
- パーソナルトレーナー:2か月で23万円(週2回)→1回あたりの平均14,375円
*参考にしたのは以下のサイトです
これらのサービスの料金がそれなりに高い理由にはカウンセリングの料金が高い理由と共通するものがいくつかあるように思います。例えば、知識と技術、オーダーメイドサービス、1日の上限があるという点は共通しているでしょう。
加えて、カウンセリングを含めたこれらのサービスに共通することとして「時間をかけて自分を変えていく」という特徴もあります。そう考えると、長期的に自分を変えていくことにはある程度のコストがかかるということが出来るかもしれません。
まとめ
開業による私設カウンセリングオフィスのカウンセリング料金が高い理由について説明しました。まとめると以下のようになります。
- カウンセリングはオーダーメイドサービスである
- カウンセリングに必要な技術と知識の習得に時間とお金がかかる
- 1日に出来るカウンセリングの数に上限がある
- カウンセリングに必要な空間を維持するための費用がかかる
カウンセリングを受けることについて検討している皆さまのお役に立てれば幸いです。